バズりカクテルの裏側!なぜあの店には女性客が集まるのか?
新星の如くどこからともなく現れた新しいお店。
それがここ『シャンフェ東京』
元はご飯が美味しいワインバーとして2023年にオープンしたシャンフェ東京。
グラスワインの種類が70種類以上という、ワイン好きにはたまらないお店となっているのだが、このお店には裏の顔、もしくはもう表の顔と言っても過言ではない人気のドリンクメニューがある。
それが、カクテル。
東京の有名な老舗のバー達を追い越す勢いで急成長をとげ、影響力を広げてきたシャンフェ東京は、暗くなるにつれて明かりが灯る街に、オシャレをした女性たちと海外からの観光客がこの店のオリジナルカクテルを飲みに集まっている。
たった12席しかないこの小さなお店だから、すぐに満席になってしまう。
週末は予約なしで来店しても、いきなりのキャンセルが出ない限りは入店困難となってしまった。
しかし、料理の美味しいイタリアンレストランでありながら、ワインをメインに取り扱っているシャンフェ東京は、そもそもなぜカクテルが有名になったのでしょうか?
矛盾しかない、そんな謎のお店の「秘密」を探っていきます!
シャンフェ東京のカクテルストーリー
そもそもワインのお店がなぜカクテルを始めることになったのか?
今では予約で満席が続くレストランへと成長したものの、最初はお客様が一人も来店しない日があったほど暇だった。
『本当に悔しいし、苦しかった』とショーンは語る。
そんな中、カクテルを作るきっかけとなったのは、まだオープン間もない時期にふと来店されたお客様からの些細な一言が始まりだった。
『ジントニックないの?』
とお客様は言った。
『申し訳ございません、ワインしかないんです。』
とショーンが言うと、お客様は残念そうに退店。
そこでショーンは、
『ガラガラのお店でお客様がジントニックがないせいで帰るくらいなら、ジントニックだけでも作るか』
と思い立ったのがカクテルメニュー制作のスタートです。
ワインしか置かないワインバーでありたい!
と当初は願っていたものの、ショーンが好きな言葉の1つに、
『お店はお客様と働いてる人たちが作るもの』
という言葉があった為、自身の考えやコンセプトを押し通そうとするよりも、軽い気持ちでカクテルを作る事を決定したのだった。
その後、東京の有名なバーを6軒巡り、レシピを作ることよりも、メニューの構成について勉強していった。
そこからやっと、シャンフェ東京のカクテルメニューの制作が始まります。
オリジナルカクテルの誕生
現在では、カクテルの9割がオリジナルメニューのシャンフェ東京。
最初はスタンダードと言われる何処のバーでも飲めるメニューから取り入れた。
20歳の時にバーテンダーとして働いていたショーンは元々カクテルを多数作れたため、誰でも知っているようなカクテル:マティーニ、コスモポリタン、モヒート、グラスホッパー、ミモザ、ギムレット、ピニャコラーダ、などをメニューに採用。
がしかし、そんなメニューにショーンはすぐに飽きてしまう。
『何処でも飲めるカクテルなんて芸がない、シャンフェ東京に来る理由が必要』
と考え、自らオリジナルカクテルの考案を開始した。
幸いにも、当初は店も暇でお客様もいないため、制作の時間は十分にあり、レシピに集中することが可能だった。
ショーンがカクテルのレシピに於いて大事にしたことは、
・見た目
・味
・飲みやすさ
”カクテルは料理と同じ” と考えており、まず見た目が一番大事だと語っている。
どんなに腕のあるシェフが作った美味しい料理だろうが、雑に盛られていたら美味しく見えない。人は視覚から情報を取り込み、それから酸味、甘み、旨み、香り、など全ての味覚の情報が入り、バランスよく綺麗に調和が取れてこそ人は美味しいと感じる。
そしてカクテルにはタイプが2種類あり、「ショートカクテル」と「ロングカクテル」に分けられていて、シャンフェ東京ではフルーツなどを利用した「ショートカクテル」が多く用意されている。
そんなショーンにカクテルレシピ制作の手順を聞いてみた。
制作手順
1、テーマを決める
テーマとは、使いたいフルーツであったり、もしくは使いたいリキュールや酒。時にはお茶やジュースなんかも決める。
2、方向性の決定
スッキリ爽やか・甘め・お酒強め・女性向け・男性向けなど、どんな人に飲んで欲しいか、相手を想像してカクテルを作り始めます。
3、そのテーマに合わせて仲間集め
ラズベリーと決めたのなら、ラズベリーに合うだろうと思うリキュールなどの材料を集めてくる
4、試作と調整(一番長い作業)
そこから様々な組み合わせを試し、このバランスならお客様は喜ぶだろうという所まで、何度も作り、試飲するを繰り返し行います。
この作業が数日、もしくは数週間かかる事もあり、試行錯誤を繰り返す。
『同じ物を一日に何回も飲むと感覚がズレて何が正解か分からなくなるから、完成だと思っても翌日にまた試飲を必ずして微調整をする』
とショーンは語る。
5、提供方法とグラスの選定
「味」が決まれば、後は飾りなどの「見た目」
お店にあるグラスで可愛くならないなら、新しいグラスを探し購入する。
6、メニュー採用
何回か試験的にお客様に提供し、リアクションを伺いながら、美味しいと言ってもらえればメニューに残す。
あまり美味しそうに飲んでいなければ、一生懸命作った商品だろうがメニューには残さないこともある。
シャンフェ東京のオリジナルカクテルは、ショーンの飽くなき探究心と独自の感性で作られている。
カクテルを作るまでに、様々な工程を踏み、アイディアを巡らせ、商品の完成に近づけている。その工程の中で、自身で作りたいカクテルだけを追い求めるのではなく、最後にお客様がそのカクテルを飲んで、喜ぶのかを大切にしている。
本当の完成とは、ショーンの感性がお客様を喜ばせ、美味しいという歓声をいただいた時(笑)
バズりの理由
やはり、バズりには「見た目」が一番大事だと思っている。
しかし、美味しくなければ人は戻ってこないですし、友達に勧めようともならないわけです。
最近では、関東のみならず、全国各地から沢山の人がご来店されています。
ありがたいことに、先日来店されたお客様が
『大阪から来ました!私の大阪の友達皆から美味しいって聞いて、
私だけ来ていなかったので今日はやっと来れて嬉しいです!』と言ってくれました。
それは、お客様ゼロのオープン当初にはなかった、全国各地から沢山の人が来てくれている状況。
ショーンがレストランを作る上で大事にしている事は、
『お客様が来る理由』
”何処にでもある料理、何処でも飲めるカクテル、普通のサービス、そんな物を提供するなら、わざわざ世に新しいレストランを生み出す意味なんてない”
シャンフェ東京でしか味わえない、シャンフェ東京でしか出会えないもの。
本当に美味しくて、新しい物を提供したい!
その考え方が、人を惹きつけるシャンフェ東京のバズりの『秘密』ではなく、『本質』なのではないでしょうか?